新設住宅着工数の下落がもたらす未来

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2024.03.28 コラム

 2022年の新設住宅着工戸数は約86万戸との統計調査が国交省から発表されています。今後着工数は徐々に減少していき、
2030年には60万台前半まで落ち込むとの予想がされています。


 とは言え年間に60万戸も新築が建つと聞くと、それでも結構な建築量じゃなかろうかと思ってしまいます。


 しかしながら統計を紐解くと、1980~1990年代では年間の着工数は100万戸を優に超え、150万戸を上回る事も多かったのですが、
バブル崩壊、消費税の導入を引き金に2000年代に入り100万戸を超える程度で推移し、リーマンショックを境に2010年代には
100万戸を超える事は無くなりました。今後は90、80と下落の一途をたどり、2030年には60万台前半に、との予想なのです。


 またこの数字はアパートなどの貸家、個人の戸建て住宅、マンションなどの分譲住宅全ての新築着工数が含まれたもので、
貸家、戸建の減少幅は大きく、件数は1900年代終盤からほぼ半減しているのです。


 住宅建設には大工などの職人が必須です。木造住宅が大多数の貸家や戸建の着工数が減ると言う事は、
職人の仕事が減ると言う事です。また木造建築用の資材の供給量も減りますから、建材店の利益も小さくなります。
 近年はリフォームや買取再販が堅調さを保っていますが、どうしても新築住宅と比べると使われるお金の規模は小さくなります。
 住宅は1販売における金額がとても大きいため、その影響も多岐に渡ります。


 お金が行き渡らなければ、お金が使われる事も少なくなります。お金が使われなければ物が売れなくなります。
物が売れ無くなればまたお金が行き渡らなくなります。新築着工が少なくなり過ぎるとこのスパイラルに歯止めが利かなくなってしまいます。


 海外に目を向けると、アメリカはリーマンショック時の影響を除き概ね150万戸前後を推移し続けています。
背景には緩やかに人口の上昇があり、比較して日本は緩やかに人口が減少し続けいます。


 他にも諸外国の都市部に比べ、住宅価格における土地価格の比率が高く、材料費へのコスト割合が高い傾向にあります。
 人口減少による供給絶対数の低下、人口集中のための地価上昇、輸入への依存によるコスト増加と、
新築着工数増加のための対策は相当な苦境である事が各種データを見ると読み解く事が出来ます。


 このような状況を打破出来る提案を私は持ち合わせていません。
出来れば豊かな生活が営めればとは思いますが、旧来の日本人のイメージである質素な生活を覚悟しなければならなくなっていくのかもしれません。