売主の利益は買主の不利益です。買主の利益は売主の不利益です。
売主は高く売る事が目的ですし、買主は安く買う事が目的だからです。しかしながらこれではいつまで経っても売買は成立しません。
実際の不動産売買においては、価格の高低以外の条件をより明確にしていると成立が早まる傾向にありますが、一筋縄ではいかないものです。
買主においてはこれはイメージしやすいといえます。
価格の問題は、特に居住用の場合、住宅ローンを利用する点でクリアしやすいからです。
買主は購入した物件にこれから住み続けていく訳ですから、そこに住んで達せられる目的を重視する事で
価格面の重要度を下げ、売主へ寄る事が出来ます。
一方、売主側はどうでしょうか?
立地が良かったり、需要はあるが物件が出にくい場所であったりすると、
好条件で話が入りますから難しく考える必要がありません。
翻って、立地が芳しくない、類似物件がよく出てくるような地域ではどうでしょうか?
買主はそもそもそのエリアでなければならない事情がある場合が大多数で、
その意味では価格以外の条件に重きを置きやすいのですが、比較が出来る状況である場合一番に影響を受けるのは価格です。
指針としてとても分かりやすいため、価格比較を受けたくない場合はそれに匹敵する客観的で明確な提案が必要になり、それはかなり難しいでしょう。
例えば給湯器で言えば、○○年式の××製・メンテナンスを〇年前にし次の点検は〇年後、(具体的な機能)が利用でき、
万一の場合同様の後継機は型式◆◆で○○万円、との具合で、機器一つとっても多岐に渡るポイントを押さえる必要があります。
更にはそれが必ず買主に刺さるかは分かりません。
価格に決まりが無い不動産の取引で一番モノを言うのはお金なのかもしれません。